私たちは医療関係者ではございませんので、子どもの頭痛の種類、症状、治療などに関する話ではなく、主に「子どもの頭痛」をとりまく社会的な問題点などを取り上げております。子どもの頭痛と、大人の頭痛ではその症状や原因にも様々な違いがあり、かつ子どもの頭痛の存在を広く知っていただくため、あえて独立したプロジェクトとさせていただきました。
パパママ気付いて
子どもが自分で「頭が痛い」と訴えることが出来るのは、5歳前後と言われております。しかし1~2歳で片頭痛の症状が確認されたとの報告もあり、実際のところは、表現の手段をもたないだけで、乳幼児期から頭痛ホルダーとなっている可能性も否定はできません。
また幼稚園児や小学生などでも、「頭が痛い」とスムーズに表現する事が出来ず、何も言わずに頭や目を手でグリグリしていたり、「何かココがヘン」「気持ち悪い」等、大人とは違う表現をする場合もあるので、助けてあげて下さい。
片頭痛は母親からの遺伝が多いとの調査結果もあり、ママが片頭痛ホルダーの場合は、特に気を付けて上げて下さい。
子どもにも頭痛はある
子どもの頭痛は、最近までその存在すら認識される事があまりありませんでした。現在では、大人と同様の片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛は勿論、子ども特有の頭痛も確認されております。特に子どもは成長過程にあり、乳幼児、小学生、中学生、高校生と、それぞれ特有の症状があるので、注意が必要です。
「よくわからないのにグズっているだけ」
「思春期だから」
こういった誤った認識が、子どもの頭痛の存在を隠していた一因です。子どもの頭痛に対する関心の低さは、下記の調査でも実証されております。
約10年前とはいえ驚きの数字です。
サボってないよ
「学校に行きたくないだけでしょ」
「体育が嫌なだけでしょ」
「スマホやゲームばかりしてるからでしょ」
子どもの頭痛に対する、周囲の認識不足による誤認です。これはもう、頭痛ホルダーの皆様には、今さらご説明する必要もないかとは思われますが、子どものケースでもやはり深刻です。子どもの頭痛には大人の頭痛とは異なる症状もあり、また、精神的に未だ発達状態にあるため、心理的ストレス等により、情緒不安定におちいりがちだからです。
他にも誤解を招く、子どもの頭痛の特徴
- 小児の片頭痛は朝に発症しやすい
- 土曜日や日曜日に痛くなることは少ない
- 夏休みなど学校が長い間休みのときに痛くなることは少ない
不登校になりたくない
上記の誤った認識が続き、適切な治療を受けないままでいると、頭痛は悪化し欠席日数も増え、遂には本当に「不登校」になってしまいます。学校等、周囲の理解のない場合には、元気がない(頭が痛い)ので、他の生徒との友人関係やいじめなどの問題が発生し、やはり「不登校」になってしまう可能性もあります。日本における確かなデータは無いのですが、不登校の子ども達の40%~50%が頭痛の症状を訴えているという調査報告もあります。
こころの病気にしないで!
病気として頭痛を起こしている事を見逃してしまい、本当は「こころ」は健全なのにも関わらず、精神的な病気であると決めつけてしまう行為は、とても危険です。思春期の多感な時期の子ども達にとって、「自分は精神の病気なんだ」と認定されてしまうのは、大人が考えるよりもはるかにショックの大きな事です。
また、子ども頭痛ホルダーは、我慢強かったり、頑張るタイプの子どもも多く、下の図のように、本当に「こころの病気」におちいりがちな点も見逃せません。
いずれにしても、子ども頭痛ホルダーの、将来の夢や希望までも閉ざしてしまう可能性のある、非常に重要な問題です。
大人の責任
子どもの頭痛は、ストレスに大きく左右されます。
両親が不仲であったり、離婚しているなど家庭環境が、子どもの頭痛の要因と報告されております。
繰り返しになってしまいますが、子ども達の話をしっかり聞いてあげて下さい。日常をよく観察してあげて下さい。
つたなく不器用かもしれませんが、一生懸命つたえようとしています。
頭痛ホルダーの皆様であれば尚更です。子ども頭痛の先輩であるOB・OGの方も多いのではないでしょうか。私たちに出来る事を、小さな事からでもひとつひとつ重ね上げ、より弱い立場にある子ども頭痛ホルダーを、守るための大きな木を私たちの手で育てていきましょう。
準備中プロジェクト
- 子ども頭痛相談室(仮称)
- 子ども達が気軽にアクセス出来るよう、メール、電話による対応。コミュニケーションツールの多様性を鑑み、LINE等のソーシャルネットの活用法も検討。
- 子ども頭痛手帳(仮称)
- 子ども頭痛ホルダー自身が、両親や先生に渡せる、頭痛に関しての説明書。
- 子ども→頭痛財団 「渡した」ことを報告
- 受け取った大人→頭痛財団 「受け取った」ことを報告
- 頭痛財団→子ども 頭痛に関して、状況が改善したかどうかの確認
- 子ども頭痛ホルダーの声(仮称)
- 子ども頭痛ホルダーが匿名で書き込める掲示板の運営。もしくは、子ども達の多く集まるサイトがあれば、そちらと連動出来るように、スレッドを立ち上げて管理する。
- 配布資料制作チームの結成
- 家庭用、学校用、保健室用、医療機関用と、ターゲットを絞った資料作成の為、ドクター、教育者、デザイナーなど、多業種メンバーによる制作チームで作業。
参考書籍
子どもの頭痛 頭が痛いって本当だよ 藤田光江先生著
ママ、頭が痛いよ! 清水俊彦先生著
こどもの頭痛を治す本 清水俊彦先生著